2003~2020年度の川崎医科大学衛生学の記録 ➡ その後はウェブ版「雲心月性」です。
川崎医科大学 同窓会報 副会長の挨拶 
2011年10月2日
会員の皆様,いかがお過ごしでしょうか?

 東日本大震災と大津波,さらに福島第一原発の事故とそれに続く補放射能汚染の問題だけでも,我が国自体が,大きな命題を突き付けられている 様に感じますが,輪をかける様に政治は混乱の極みという状況で,嘆くべきなのか,あるいはそれでも議院内閣制の中で,国会議員を選んだのも国民一人ひとり・・・投票率があまり高くないにしても,それを承知で投票に行かないとすると・・・の責任でもあるのかも知れません。

 同窓生の方の中には,まさに震災被害の渦中から,まだまだ復興に時間のかかる現状で,それでも精一杯,努力なさってらっしゃる先生も多いと 聞いております。「がんばろう日本」は,それでもお互いに,気持ちをひとつにして,という祈りを込めての言葉と感じております。遠い倉敷で働 いておりますが,想いは東北に,といつも噛み締めております。

みんなが想いを東北に寄せることで,それでも何か「気」のパワー(オカルトではないですが)のような渦が被災地を支えることも出来ないのだろ うかと思って,そして,実は今年3月まで地元岡山のRS山陽放送AMラジオで若者たちがやっているバラエティー番組でコーナーを持っていた時 に,土曜夜の放送で,3月12日は,とにかくまだ情報が錯綜していて,それでも出演者一同がそれぞれに被災地への想いを寄せるメッセージを語 りました。そして,状況がいくつか分かってきた翌週19日には,リスナーの皆様のメッセージを伝えるとともに,私は自分のコーナーで「復興支 援オリジナルソング」をギターで弾き語りをしました。その後,種々の用事で倉敷を離れることもならないままに,フルバージョンを作って,それ でもアクセスしてくださる方の想いが東北に向かう切掛になれば,と,YouTubeにアップしました。YouTubeで私の名前で検索してみ てください。あるいはGoogleなどで私の名前で動画検索をしてくださいましたら,ヒットします。想いを東北に! という3月17日の楽曲 で「3.11その後」です。

 大学は,震災の後もいくつかの難題を突き付けられました。国家試験の成績が甚だ芳しくなく,全体で79番(80校),新卒では80番という 状況でした。同窓会では副会長も努めさせていただいておりますが,大学の役職にも付いている者として,深くお詫び申し上げます。この結果を受 けて,緊急の大学運営委員会,教授会などが開かれました。成績の調査,あるいは卒業試験日程などの見直し,小グループ制度の中での肌理細かな 対応などの方策が建てられて実践されました。原因を教員の怠慢と指摘されれば,反論する言葉もありません。良医を目指す問題解決能力や思考に ついての素地を伸ばすこと,更には試験で確実に点数を取れる知識も蓄積させること,加えて,教育全体に対して怯えてビクビクしながら評価を待 つのではなく,おおらかにのびのびと学習する姿勢も身につけてほしいのですが,なかなか,教育の全体像として授業などに関わる300人弱の教 員,さらには助教,臨床助教といった教員も実習などで関わってきます。そういった教育体制に入っている教員たちの意識と手法をブラッシュアッ プしていくことも,なかなかどうして,大変なことなのかも知れません。ただ,いくら言葉を紡いでも,それは言い訳でしかないのでしょう。本学 の教育の姿勢,方針については,教務担当副学長でいらっしゃる砂田教授(神経内科)や福永学長が,教授会やFD会などで事ある度に,対象教員 に対して述べられてらっしゃると感じております。教員一人ひとりが,それを真摯に受け止め,それぞれの担当の時間の中でどのように昇華してい くべきなのか,ということを真剣に考えていくしかないのかも知れません。現在,衛生学領域で働いておりますが,同業の先生でお嬢様がこんしゅ ん,本学を卒業された方がいらっしゃいます。その先生が「川崎は試験に対して学生に怯えを植えつけている」といった主旨のことを,別件での メールのやりとりの余談で話してくださいました。たしかに,ビビっていては実力は出せないのかも知れません。いい意味での緊張感は必要です が,過度の不安や怯えは,試験に際しても実力を発揮させきれずに,困惑させてしまう源になってしまうのかも知れません。反省をし,少なくと も,それに基づいて自分の与えられている教育の中で,改善を目指して行きたいと思ったりしております。

 さらにその後,今度は現役学生が覚醒剤所持容疑で逮捕されました。これもまた大学の役職に付いている者として,心よりお詫び申し上げます。 まだその後の経過は進行中でありますので,詳細は記載するには至らないのですが,それでも学生の中にこのような事件にたどり着いてしまう気持 ちの揺れをもっていた者が居たという事実だけでも,何かを考えないとならないのだろうとは思います。数年前から,全学生を対象に(休んだ学生 には,録画したものを全員が閲覧するまでその機会を与えるという姿勢で)覚醒剤などの危険性などを注意する講演会を,専門職の方を招いて実施 していた矢先でしたので,大学も驚愕してしまいました。一般的にストレスの多い社会と言われておりますが,それは学生さんでも同様で,なかな か本業に真摯に向き合っていても,どこかで自分の気持ちといろんな評価や周囲とのすれ違いなどで,心の余裕が失われた時に,遊び心も含めて何 に救いや逃げ場を求めていくのか,そのひとつの現れとして,こういった事象につながったようなことがあるのかも知れません。個人的に,さて, どういった解決策も見つけきれないままに時だけが過ぎていっていることに忸怩たる想いもありますが,事象を多角的に捉えながら思考を深めてい きたく考えております。

 副会長の挨拶の欄なのですが,大学に所属している立場上,こういったことに触れざるを得ず,辛い文章になってしまいました。

 そうそう,年度内とはいえ,来年のことなのですが,2012年1月27-28日に倉敷市民会館大会議室で第11回分子予防環境医学研究会を 主催致します。例年100名余が集まる小さな研究会ですが,衛生学・公衆衛生学・健康科学・予防医学と呼ばれる領域の中で,最先端の分子生物 学なども踏まえた研究に邁進されてらっしゃる精鋭たちが集まる研究会で,我々の教室もずっと学習を兼ねて皆で参加してきた会なのですが,今 回,会長を仰せつかりました。IL-8を見つけた現在東大の松島教授やRbを見つけた京都府立医大の酒井教授などが中心メンバーで,いやは や・・・主催者として,参加される皆様に満足していただける会にしないとならないと,気持ちを引き締めております。といいつつ,きっと懇親会 では,今回の研究会のオリジナル主題歌などを歌ったりするのかも知れませんが・・・(*^-^*)

  6~7月に岡山県立美術館で,横尾忠則展がありました。横尾忠則氏といえば,僕らの世代では,サンタナの「ロータスの伝説」や,マイルス・デ イビスの「パンゲア」「アガルタ」のジャケットのイラストで,本当にポップスターでした。さらに今回は,美術館内のアトリウムで,公開制作を されるということで,観に行ってきました。そして,キャンパスの絵の具が乾く間の,聴衆とのやりとりや質問にお答えになっている中で,美術と しての芸術の根底にあるもの,あるいは対峙するべき姿勢についてお話になられている時に,個人的には,音楽や文学などのアートとの比較や,や はりそういったものを制作するということ,ひいては,ある医科学の中で興味あること,解明されていない何かに気付いて,それに対して研究計画 の企画し,手を動かして(あるいは最近では,若い教室員にしてもらっていますが),結果を出して考察して論文を書いて,それを評価してもら う,という作業について,その相違点などについつい想いを馳せたものでした。

 観測史上初という言葉が,毎年のようになんらかの気象に関連する現象で報道されるってことは,やはり地球環境自体の変化が大きくなってきて いるのでしょうね。エネルギーや電力についても考えないとなりませんし,暑さ寒さに耐えられる体力つくりが一番でしょうか!

 同窓生の皆様,それでも元気に日々をお過ごしください。また岡山県内には,井原市の田中美術館とか高梁市の成羽美術館など,結構,良質の ミュージアムが沢山あります。母校に寄られるついでに,そんなアート巡りもどうでしょうか?